私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
やっぱり私、センスないのかな――。

石堂さんのため息のたびに気持ちがへこんでいく。

「お前、不器用すぎ。頭の中で全然考えてない」

容赦なく石堂さんの厳しい言葉がグサグサと突き刺さる。

スフラはコーヒーをサイフォンで淹れるということを最大のアピールポイントとしている。もちろんいままでサイフォンなんて使ったことはない。けれど、使い慣れてないなんて、教えてもらっている以上はそんなことはいい訳にはならない。

自宅では何度もバリスタを使ってコーヒーを淹れているのに、ここではどうしてもうまくいかなかった。

「まぁ、はじめから完璧に淹れられるやつなんていない。見てろ」

あまりにも下手な私を見かねてそういうと、石堂さんは沸騰してフラスコからロートへ押しあがった湯に、慣れた手つきで粉状になったコーヒーをヘラでなじませた。すると、ロートの中のものが綺麗に泡、粉、液体と三層に分かれていった。
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