私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「うん、特別に作ったものだからね。今夜はお客さんも少ないし、早めにあがって一緒に食べるといいよ」
わざわざ作ってくれたんだ――。
雅人さんのさりげない優しさにほっこりしてしまう。
混雑時は忙しくて時間を気にしている余裕もなかった。落ち着いた頃にはあっという間に沙耶が来店する予定の時刻になっていた。
「それにしても、慧がこの店で人にコーヒーの淹れ方を教えるなんて、久しぶりかな」
「え……?」
洗ったコーヒーカップを布巾で拭いていると、雅人さんがぽつりと言った。
「慧が一流のバリスタだってメディアに出始めた頃は、たくさんのバリスタ志望者がこの店に来たんだ」
「そうだったんですか」
「けど、みんな根性なくてねぇ、慧もあの性格だろう? どうせ長続きしないと思って嫌気がさした慧は、自分の技術そのものを教えるのをやめちゃったんだ。あいつ、見かけによらずコーヒーに関しては熱いところがあるからなぁ……だから、君には何か特別なものを感じたんじゃないかな」
まぁ、頑張ってよ。とぽんぽん肩を叩かれたところで出入り口のドアが開き、聞き覚えのある声がした。
わざわざ作ってくれたんだ――。
雅人さんのさりげない優しさにほっこりしてしまう。
混雑時は忙しくて時間を気にしている余裕もなかった。落ち着いた頃にはあっという間に沙耶が来店する予定の時刻になっていた。
「それにしても、慧がこの店で人にコーヒーの淹れ方を教えるなんて、久しぶりかな」
「え……?」
洗ったコーヒーカップを布巾で拭いていると、雅人さんがぽつりと言った。
「慧が一流のバリスタだってメディアに出始めた頃は、たくさんのバリスタ志望者がこの店に来たんだ」
「そうだったんですか」
「けど、みんな根性なくてねぇ、慧もあの性格だろう? どうせ長続きしないと思って嫌気がさした慧は、自分の技術そのものを教えるのをやめちゃったんだ。あいつ、見かけによらずコーヒーに関しては熱いところがあるからなぁ……だから、君には何か特別なものを感じたんじゃないかな」
まぁ、頑張ってよ。とぽんぽん肩を叩かれたところで出入り口のドアが開き、聞き覚えのある声がした。