私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「そういうわけじゃ……」

「俺が教えた通りなら間違いない」

初めて人に出すコーヒー。

自信があるのか?ないのか?そう問われているようで、少しの迷いが胸を掠ったが、こうしている間にもどんどん冷めていってしまう。

大丈夫! もっと自信持ちなさい――!

そう自分に言い聞かせてトレーにカップを載せると、私は沙耶の元へそれを運んだ。

「お待たせしました」

沙耶の前に淹れたてのコーヒーの入ったカップを置くと、芳醇な香りがあたりを包み込み、沙耶は嬉しそうにカップに両手をそえた。

「ありがとう。なんだか見ないうちに一流バリスタになった感じだね」

「そ、そうかな……実はまだ見習い中で、沙耶が私の初めてのお客さんなんだ」

「え? そうなの?」

見習い中のコーヒーを飲ませるのか。と怒る彼女ではない。沙耶はそれをひとくち飲むと、はぁっと長いため息をついた。
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