あの隙間から見上げた空
しばらく
猫と遊んでいると

「あ、りんたろう!」

その声に
顔を上げると
男の人が近づいて来るのが
見えた。

彼の第一印象は

細くて、
すらっとしてて
女の子みたいに
やわらかい雰囲気のひと

まあ彼の目はあたしじゃなくて
猫のりんたろうに
くぎ付けだったんだけど

「りんたろう~
お前どこ行ってたんだよ。
探したんだぞ!」

ニコニコ顔で猫を抱き上げる。

あたし、
さっきから一言も
声かけられてないんだけど
自分から何か言った方がいいのかなぁ。


あっ・・・。
目が合った。

「あっ!ありがとうございます。
助かりました!」

ぺこぺことお礼をされる。

なんか
気恥ずかしくなって
あ、いえ・・・じゃあ・・・。
なんてもごもご言いながら
その場を立ち去ろうとした時
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