あの隙間から見上げた空
そうだ、せっかくだから
見てみる?

そんな提案をうまく断れないまま
結局
学さんの家の前まで
来てしまった。

どうしよう、
あたしこのままやくざとかに
売り飛ばされたら
超笑える。

いや、笑えない。

学さんが
ただいまーと言いながら
玄関で靴を脱いでる後ろで
あたしは小さく
おじゃまします
とつぶやいた。

「ねぇ、リンタロウ見つかった?」

奥の方から出てきたのは
やくざでも何でもない、
普通の
女の人だった。

いや、
普通じゃない。

普通よりはるかに
奇麗な人。
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