あの隙間から見上げた空
彼女は体をおこして
あたしの隣に座りなおしてくる。

あたしの腕に白い腕をからませて

「ね、今ね、女の子がアタシ一人しかいないんだよねぇ。
アタシとしてもむさくるしい男が増えるよりも、
おんなじ女の子が増えてくれたら嬉しいんだけどなぁ。」

甘えた声であたしの顔を覗き込む。
学さんはあきれたように
「本当は男だけっていうルールをぶち壊したのはお前だろうが。」

彼女はそれを無視して
「アタシ、サエコっていうの。サエって呼んでいいからねえ。」
と、あたしに笑いかけて
「で、ここに住むよね?」
その目がこわい。
目がこわい。

それからサエコさんの
強引な説得により
あたしは来月から
ここに住む事がきまった。

「アンタさ、」

「はい?」

「もしかして拒否れない人?」

「はぁ…」

「やっぱりね~、とりあえずテレビ、よろしくねぇ。」

サエコさんは
あたしの頭を軽くなでた後、
鼻歌を歌いながら
リビングを出て行った。
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