明日、隣には。


「試験範囲、意外と狭いのね」

今までずっと黙りこくって、教科書の文字列を追っていた更紗の目が不意にこちらを向いたものだから、少し驚いた。

ビューラーでくるんとカールした長い睫毛に、アイライナーで綺麗に縁取られた大きな目。

どちらかというと目が細いわたしは、更紗の目を羨ましく思っていた。
前に更紗にそれを言ったら、「目なんて顔の一部に過ぎないわ」って笑っていたけど。


「嘘、今回数学はかなり試験範囲広いって皆言ってたのに」

「そうでもないわ、ほら。ここからここまでよ」

更紗の持っている教科書を覗き込む。
試験範囲は軽く20ページ分あった。


< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop