【短】コンソメスープが重たくて


「ありがとうございました」



 あと一時間を残して、店内は静まり返ってしまう。BGMが瑠美を慰めるようにひたすら音を出していた。


 閉店する日を決めた後、瑠美は久しぶりに就職活動をした。この年齢で雇いたいと言う企業は少ない。


 それでも小さい企業に来月から働くことを決めた。本当は仕事が好きになれるかが不安であった。



「誰もこない……か」



 一人呟いた時だ。カウベルの音がして瑠美は振り返る。



「いらっしゃいませ」

「いつものお願いします」



 瑠美と同じ歳の男性客。
 以前、話をした時に同じ歳だと盛り上がったことを思い出す。



「かしこまりました」


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