【短】コンソメスープが重たくて


「お待たせいたしました」



 瑠美はカウンター越しに声をかける。すると、慣れた手つきで文庫本をカバンに入れる。


 フォークとスプーンをテーブルに置く。
 それからナポリタン大盛りとカップに入ったコンソメスープ、サラダを並べた。



「いただきます」



 彼は幸せそうな顔をして、ナポリタンを食べ始める。
 時間は五時半。最後の客になりそうだ。


 ナポリタンが半分なくなったところで、もう一つの注文メニューを届ける。



「アイスミルクティーです」

「ありがとう」



 彼に用意するミルクティーはミルクが少なめで、シロップが多め。それが好みだと知っている。

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