【短】コンソメスープが重たくて
彼が店に通い始めたのは開店して間もなく。
その日も同じくナポリタンとコンソメスープとサラダ、アイスミルクティーを注文した。
ずっと変わらない注文。
だからナポリタンだけはメニューから外すことはしない。価格も出来るだけ変えないように努力してきた。
「ごちそうさまでした。今日も美味しかったです」
彼がそう言って手を合わせたのは、閉店まで残り十分というあたりだ。
「お会計、お願いします」
「はい」
瑠美はいつも通り、カウンター越しにお金を受け取り、お釣りを渡す。
「ありがとうございました」