【短】コンソメスープが重たくて


『なあ、教科書見せてくれない?』



 彼女に臆することなく話しかけてきたのが彼。
 講義を受ける際、無遠慮に隣に座ってきた。



『授業を受けに来て忘れたのですか?』

『まあ、そう怒らないでよ』

『あきれているだけです』



 茶髪で屈託の無い笑顔。両耳にピアスをして、長い指には指輪。腰にはキーチェーンをジャラジャラいわせている。


 どう見ても瑠美とは不釣り合い。



『見せてくれんの? くれないの?』

『……今日だけよ』



 だからこそ瑠美は彼に惹かれたのだった。

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