【短】コンソメスープが重たくて


 常に彼は瑠美に対して思っていたのだ。重い、と。
 コンソメスープはただのきっかけにすぎない。



『お前、重すぎる』



 その言葉は瑠美を傷つけ、恋愛に対して恐怖に近い感情を抱くようになった。そして人を好きになることもなくなってしまった。


 人は居心地の良いものを求める。


 地面に沈み込みそうな重さを持った人も、重力に逆らってふわふわした軽い人も、なかなか受け入れてもらえないもの。


 二人は元々、重さが違う人間だった。だからこそ居心地の悪さを感じる。

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