sugar、sugar、lip
「快登(かいと)?」


いつの間にかピアノの音色は止まり、わたしの斜め後ろから足音と声が近付いてくる。


「あっ、奏大」


多分、快登くんってのは目の前の彼。



そして、ピアノの彼。


奏大を、わたしは初めて目にする。



「っ!?」

「あっ。芳川さん」


じゃないし……。



「なんで米倉くんがっ!?」


そう言えば……この快登くん。


見覚えあると思ったら、よくウチのクラスに来る米倉くんの友達だ。



そして何故……


米倉くんが音楽室の中から現れるのっ!?



もしかして、もう一人いるとか?



「奏大のピアノ聴いてたんだって。芳川さん」



やっぱりコイツなの!?



「米倉……奏大」



出来れば別の人であって欲しかった……。


「わたしの憧れを返せっ!! バカー!!」


一方的な八つ当たりに、米倉くんも快登くんも呆然と顔を見合わせている。



日誌片手に廊下を全力疾走。







あぁ……





神様





もしいるなら







ぶっ飛ばしたい……。






なんで最高の彼と最低の彼を、







同じ人にしたりしたのよっ!!
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