sugar、sugar、lip
チラッと時計に目をやりながら、米倉くんが手早くピアノを片付けていく。


「あ……の……」


「んっ?」



また聴かせてくれる?




の一言が、喉まで来て止まる。




はぁ……



意気地なし……。



どうして、こう……ホントに言いたいことは言えないかな……。



また自己嫌悪に陥りそうになってるわたしの頭に、米倉くんの手が乗っかった。


そして、


「続き、またでいいだろ?」



あ……。



……まただ。




また、こんな風に無防備に笑って……、



ただ頷くわたしを残して去っていく……。




ホント、調子狂うっての……。
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