sugar、sugar、lip
「欠席は……米倉だな」


朝のホームルームで点呼を取る担任。



……休みなんだ。




米倉くん……。




せっかくピアノが聴けるって思ったのに……。




空っぽの米倉くんの席に目を向ける。





今まで、居ても居なくても全く気にならなかったのに……。




たった一人。




教室にいないだけなのに、




物足りない……。





それでも、教室の中は相変わらずの時間が流れてる。




たった一人の欠席なんて、大したことじゃないもんね。





それなのに、こんなに気になるのは……、





米倉くんだからだ……きっと。





わたしと米倉くんの間に、今まで無かった繋がりが出来てしまったから……。





例えそれが、





友情とも、慕情ともかけ離れたものだとしても……。





わたしの中で、確実に大きくなってる……。





かなり癪なんですけど……。





まぁ……、




ピアノが聴けないのは残念だけど……。




それだけだし。




頭の中で自分で自分に必死に言い訳してる。




その日は久しぶりに、放課後すぐに学校を後にした。
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