sugar、sugar、lip
「なに……それ?」


気がついたら、音楽室に飛び込んでた。


「芳川さんっ!」



驚いたようにわたしを見てる二人。



わたしを呼ぶ快登くんの声だって耳に入らない……。



それにも関わらず、わたしは米倉くんの方へと詰め寄って行く。



「立ち聞き? 相変わらず良い趣味だな」


冗談なのか本気なのか……。


半笑いの米倉くんがわたしを見下ろしている。


「アンタだって勝手に携帯見たんだからオアイコでしょ! それより……」


血を吐くって何?



冗談?



聞きたいことはわかってるのに……。



また……ホントに言いたいことが言えなくなる……。


「どっから聞いてた?」


「……ただの風邪ってとこ」



じっと米倉くんの首元を見つめた。



昨日声が掠れてたのは……風邪のせいじゃないの?



「聞いたまんま。ただの風邪」


「違うでしょ! わたしが聞いてるのは!!」


アッサリとはぐらかされた……。



それに腹が立って、目の前の米倉くんの服をギューッと掴んでた。



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