sugar、sugar、lip
真剣に彼を見つめるわたしに、



「なに熱くなってんの? お前に関係ないじゃん」



冷たく言い放たれた言葉。



掴んでたわたしの手を振り払い、立ち去ろうとする米倉くん。


「奏大っ!」



ピリッとした空気を纏った米倉くんの背中に、放置されてた快登くんが呼び掛ける。



「待ちなさいよっ!」


「ちょ、芳川さんっ!」

「……」



快登くんが駆け寄るより早く、駆け寄ったわたしは後ろから米倉くんを羽交い締め……、



のつもりが、完全に抱きついてる……。


とにかく、動きが止まったからそれでいい。



「教えてくれたっていいじゃない! バカ!!」


「なぁ……それが人に物頼む態度? おかしいだろ」



背中に貼り付くわたしを振り返りながら、呆れたように呟く米倉くん。




「芳川さん」




いつもの調子で言い合うわたしたちに、ストップをかけたのは快登くんだった。



「奏大は生まれつき喉に病気があるんだ」



「……えっ?」



……喉に病気?



「喉に負担かけないように、一日三十分程度しか喋れない。無理すれば喉から血が出る」
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