sugar、sugar、lip
「昨日もあの後……奏大に怒られるしさ……言い過ぎって」


あっ……。


わたしのこと庇ってくれたのかな……?


思いっきり怪訝な顔でわたしは笑う快登くんを見つめる。


「正直、奏大に芳川さん近づけたくなかったんだよね」



可愛い顔して米倉くんに負けず劣らずな毒をサラッと吐く快登くん。



……さすが友達。



「……なんで?」


「んっ? だって……プライド高そうだったから」



すっごく無邪気な笑顔が眩しいんですけど……。



はぁ……



否定出来ない自分が悲しい……。



「……でも、芳川さんの情熱に負けた」


「情熱?」


「奏大の近くにいたいんでしょ?」


何を言うのかと思えば……。



「違うわ。ピアノよ」


そう。


米倉くんじゃなくて、米倉くんのピアノが……。


「好きなんだ」

「ピアノがねっ」


やたらピアノを強調したら笑われた……。



「ほらっ。携帯出して」




こうして快登くんから米倉くんのアドレスを教えてもらった……。



なんとなく……快登くんの態度が腑に落ちないけど……。



とりあえず目的は達成。
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