sugar、sugar、lip
『今から行くから』


放課後。


やっぱり教室に姿の無い米倉くんに、早速送ったメールがこれ……。


教室から送ったメールに返事が来たのは、音楽室の手前。



『……誰? 何しに来んの?』



思わず足を止めた……。


一瞬、


嫌がらせ?


とか思って冷や汗が流れたけど、



よくよく考えたら、米倉くんはわたしのアドレス知らないんだよね?



『米倉くんのピアノを聴きに行くの』



そのまま、音楽室手前から即返信をする。



これでわたしだってわかったかな?



返信が返って来るまで、ここで待ってよ……。



廊下のど真ん中で携帯を握り締めて立ち尽くす。



「いきなり名乗りもせずにメールするか?」


メールの受信と同時に、音楽室からひょっこりと現れた米倉くん。



「……喋って平気なの?」


「だから、ただの風邪だって。今回は」


語尾に加えられた、


今回は



が少し気になった。


「医者も問題無いって言ってたし、風邪の薬飲んだら治った」


ホントに風邪だったんだ……。



良かった……。



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