sugar、sugar、lip
「ねぇ……」


「んっ?」


「無理したらどうなるの?」



ホントはこんなこと聞くのが怖い……。



でも、



米倉くんに負担をかけない為にも、



知っておきたいって思った。



「……場合によるけど、血が出たらとりあえず病院だな」



サラッと答える米倉くんの言葉に、わたしはぐっと拳を握り締めた。



寒い廊下に居るのにジワジワ手のひらが汗ばんでいく……。


「調子悪かったら入院。……つっても短期だけど」



聞いたわたしの方が思わず黙り込んでしまう……。



だって……



返す言葉なんて見つからないし、わかんないよ……。



「……引き返せば? 隣で血ィ吐かれても寝覚め悪いだろ」


何も言えないわたしに、さっきまでと変わらない淡々とした口調で言って、米倉くんは音楽室へ消えた。



これは……やっぱり拒絶なの?



それを言う為に……


わざわざ廊下に出て来て


会話したの?



そう思ったら、足が立ち竦む。


不意に、握り締めたままだった携帯に目をやった。



そう言えば……メール受信したままだったな。



こっちにも拒絶の言葉が書かれてたのかな……。
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