sugar、sugar、lip
放課後。




やっぱりいつも通り、米倉くんは隣に居るわけで……。


「はい」


携帯を取り出そうとしたわたしに、こう言って何かを手渡してきた。



反射的に出した手のひらには、可愛くラッピングされた手作りのマフィン。



「……なに?」


「マフィン」


「知ってる」


「んじゃあ聞くな」


わざと言ってるってわかってんのに……つい反応してしまう。


これ以上付き合うまいと、黙り込んだわたしに、


「貰った。花鈴に」


米倉くんが小さく答える。



花鈴



やっぱり快登くんが言ってた娘と一緒みたい。


「……昼休みに教室に来てた娘でしょ?」


「そう。元カノ」



えっ?



……元カノ?



不意打ちで聞かされた彼女の正体に、わたしは呆然と米倉くんを見つめた。



「なにビビってんの? 俺だって元カノくらい居るんですけど」


いつもの調子な米倉くんに、何も返す言葉が思い浮かばなかった……。



だって、



元カノが居たことに驚いてるんじゃない……。




なんで、




わたしに言ったりするの?
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