sugar、sugar、lip
偶然の再会と握り締めた手
『昨日観たドラマの曲が聴きたい』



この一言で、わたしと米倉くんは駅前の本屋に向かってるわけで……。



「……なぁ」

「……なによ?」

「なんでそんなキョロキョロしてんの。挙動不審」



確かにさっきからわたしの気持ちは落ち着かなくてソワソワしてる……。



だって、




こんな所、誰かに見られたりしたら……


「……付き合ってるって勘違いされたらどうしよう……か?」



……まぁ、図星なんだけど。



こう言って鼻で笑う米倉くんがムカつくんだけど……。



「こっちこそ願い下げだって。ほら、どっか行ってろよ」



いつの間にか本屋に到着。


そして、余計な一言を残してさっさと店の奥に消えていく米倉くん。




……確かに、勘違いなんてされたら恥ずかしいけど。



だからって……、



こんな風に突き放さなくったって……。



店の中に置いてけぼりにされて、



なんだか急に心細くなった……。



遠目に見える米倉くんは、



楽譜のコーナーで、熱心に本を選んでる。



……わたしより楽譜。



わたしそっちのけで……楽譜。




なんか腹立つ……。



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