sugar、sugar、lip
思わず後退りしたら、


背中がふんわり温かい……。



「……居た」



背中越しに聞こえた声で振り返ったら、


すぐ後ろに米倉くんが居て……、




穏やかな笑顔をわたしに向けた。



その途端、



さっきまでの心細さが、嘘みたいに消えていく。



「こんちわっ」


その穏やかな表情のまま、米倉くんは善くんたちに軽く挨拶する。



それにつられたように、女の子二人も会釈を返した。



「用事?」



米倉くんの視線は再びわたしに戻って、こう尋ねてきた。



「……ううん」



慌てて首を横に振って、否定する。



「じゃあ、帰ろ。静葉」


そう言って、米倉くんはわたしの右手をギュッと握り締めた。



瞬間、



胸が思いっきりドキドキし始める。



それなり、米倉くんは善くんたちに会釈をして本屋を後にする。





……わたしの手を握ったまま。






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