sugar、sugar、lip
教室で見た大人しそうな顔は一変して、何故かクククッと小さく笑ってる。



そして、


「失礼な女」


笑顔をわたしに向けながら、思いっ切り毒を吐いてくる……。



何これ……。


初めて交わした会話がこれって……。



「他人の教科書で潰すか? 普通……」


「忘れる方が悪いんじゃない」


手元にあったんだから仕方ないわよ。


じゃないと、わたしの携帯が危なかったんだから。



「……本当に好きだった……善くんのこと」


「っ!?」


驚きで声も出せないわたしに、米倉くんの笑顔は止まらない。


「忘れる方が悪いんじゃない? 芳川さん?」


こう言って、さっきよりもっと楽しそうな笑顔で彼はわたしを見た。



「未送信……ってことは……元カレか」


この人……わたしの携帯を勝手に……、


「最低な男」



力一杯に彼を睨みつけながら吐き捨てる。



「そんだけ? いつもみたいに言いたいこと言えば?」



「言ってるでしょ! 他人の携帯勝手に見たりして最低だって!!」


平然とわたしを見下ろす米倉くんに詰め寄っていく。


「しかもメール見るとか一番最悪!」


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