sugar、sugar、lip
静葉
……初めて名前、呼ばれた。
わたしの頭の中はそれで一杯……。
店の中から鳴り止まないドキドキは、
段々、噛み締めたい程の喜びに変わっていく。
少し前を歩く米倉くんの背中。
そこに思いっきり飛び付きたいっ。
飛び付いて、
奏大
って叫びたいっ……。
でも、
「……」
ホントに言いたいことは……
やっぱり、わたしの口からは出てくれない。
もどかしい……。
ずっと黙ったままだったわたしたち。