sugar、sugar、lip
『……彼女、大切にしてあげてね、って。わたしが言うことじゃないけど……』


わたしが全力で送ったメール。



たくさん傷つけた善くんへの、
ごめんなさいの代わり……。



一晩中泣いてスッキリしたけど……まだ出るんだ……涙。



瞳に溜まっていく涙を隠したくて、顔を伏せた。




「……がんばったな。偉い偉い」



背中から聞こえた奏大の声は柔らかく……、


撫でられる頭からジワジワ奏大の優しさを感じる……。



「……子ども扱いすんな……バカァ……」



鼻声で言いながら、わたしは背中を向ける。



そんなわたしを、背中からスッポリ包んで、



「ハイハイ」



って、耳元で囁く。



その言い方が何だかくすぐったい……。



ホントはもう一個、


付け加えたことがある。





『わたしも大切にしたい人、見つけたよ』

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