sugar、sugar、lip
傍らに人の気配を感じて、わたしは目を覚ました。



もちろん、



時間は昨日の放課後ではなく、



オレンジ色がかった夕焼け空が広がる夕方になっていた。




「寝てるとか……腹立つなぁ」

「っ!?」



突然聞こえた声に、わたしは慌ててベッドから飛び起きる。



「快登くんっ!」



そこには何故か、見たこと無いくらいの仏頂面をした快登くんがわたしを見下ろしていた。



「ごめんね~。静葉に会わせてって言うから……」



こう言って快登くんの後ろから絢音がひょっこり現れる。



制服姿の二人からは、薬品の匂いが微かに漂っている。



もしかして……、



「米倉くんのお見舞い行って来たの」



やっぱり……。



わたしのこと、



何か言ってなかったかな……。



「わたしの……」

「アンタのことなんか一言も言ってなかったから」


わたしが喋り終わるより先に間髪入れず快登くんが言い放つ。



相当怒ってるなぁ……。



当たり前か……。



無理させないって言ったのに……、
奏大を入院させちゃったんだもんね……。
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