sugar、sugar、lip
「……そんな顔で強がられても説得力無いんだけど」



困ったように笑った奏大が、わたしの頬に触れた。



確かに……。

涙ポロポロ流しながら言っても、
嘘ってわかっちゃうよね……。




それでも……、


「傍に居たい……」


この気持ちに嘘はない。



「……重いよ」



それでも、奏大の拒否は続く……。



「奏大……」



そしたら、
涙はますます止まらないで溢れてくる。


「なんで……俺を選ぶわけ?」


「だって……」



「男なんか腐るほど居るのに……なんで敢えて俺なんかを選ぶんだよ」


まるで、怒ってるような険しい表情でわたしを見つめる。



「だって……喉のこともひっくるめて、奏大が好きなんだもん……」


そうだよ……。


例え、


交わせる言葉は少なくったって、


奏大は奏大。


さり気ない優しさも、


皮肉に混ぜて言う本音も、


わたしを体張って守ってくれるのも、


全部が奏大だから好きなんだ……。



「……病気の男を好きっていう自分に酔ってない?」



奏大の漏らした一言が、



完全に頭に来た……。
< 70 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop