sugar、sugar、lip
「奏大が笑うとこ?」


「……そう。奏大ってよく笑うけど、声上げて笑うとこ見たことない」



何故か放課後の廊下で、快登くんと並んで歩いてるわたし。



ホントはすぐにでも奏大と手繋いで帰りたいところだったのに……。


隣に居るドSに、半ば強制的に用事を手伝わされたわけで……。


わたしは足早に奏大の待つ教室を目指していた。



「まぁ、喉のこともあるから昔から声上げて笑うこと自体少なかったけど」


「そっか……。そりゃそうだね」


やっぱり声上げて笑うことも喉の負担になるんだね……。


「あっ」


「……なによ?」


「そういえば……芳川さん見て大笑いしてた」


「……」


なんとなく想像がつくんですけど……。


「前に昼休みの教室で思いっ切りクラスの女の子に喧嘩売ってたヤツ。あれ見て大笑いしてた」


そう言って、可愛い笑顔をわたしに向けてくる。


……お願いだから、その記憶抹消して……。


「全く……こんな女のどこがいいんだか……」


さっきまでの笑顔が一変してる……。


めっちゃ不満そうにわたしを見てるよ……。

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