sugar、sugar、lip
入り口から教室に向かって叫ぶわたしに、


奏大も絢音も驚いたようにわたしを見てる。



「二人してヒドい……わたしたち父娘じゃないんだけどっ」



入り口の前でこう言って半泣きになってるわたしを見て、奏大は大笑いしてる……。


「あっ、良かったな。奏大が大笑いしてるとこ見れて」



後ろからサラッと言うドS……。



「良いわけないでしょ! バカ!」



それに完全に八つ当たりしたら涙が止まらなくなった……。



「んなことで泣くな」

「奏大が悪いんでしょ! 父娘とか言うからっ」


いつの間にか奏大が目の前に居て、



わたしはその体に飛びつく。



「……ホント。米倉くんの前だと子どもみたい」

「いらないなぁ、こんな子ども」


呆れたような絢音の溜め息混じりの声と、馬鹿にしたような快登くんの声が恨めしい……。



「ははっ。やらねぇよ」


楽しそうに笑った奏大が快登くんに言う。



もう……父娘でもなんでも良いよ。



奏大が笑顔で傍に居てくれることに変わりない……。



それだけでわたしは、




幸せなんだから。





-end-
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