sugar、sugar、lip
わたしはまた、放課後の学校にいた。



……だから、別に学校が好きな訳じゃないから……。



たまたま……、担任に頼まれて手伝いしてただけ。



全く……放課後が暇になった途端これだもん……。



誰かの陰謀?




一人頭の中でグチりながら教室へと足を進める。



「あっ……」


音楽室に続く廊下から流れてきたメロディーに、思わず足を止めた。



音楽室って言えば……この前のアレ……。



米倉くんが帰った後。

わたしも帰ろうと音楽室を出たところで、入れ替わりに現れたクラスメートの男の子。



その数秒後……、


「ギャーーッッ!!!」


という叫び声に思わず足を早めた……。


どうやら、例の教科書の持ち主だったらしい……。




なんて言うか……、音楽室では最近良からぬことばっかり……。



だから、近付きたくないって頭の中で警鐘がガンガン鳴ってるのに……、



足が言うことをきいてくれない……。



どんどん近くなっていく心地よい音色に惹かれていく……。



聴いたことがあるけど名前の知らないクラシック。


力強いけど柔らかく優しい音……。
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