sugar、sugar、lip
そんな日が何日か過ぎた頃だった。



今日は奏大に教えたいことがある。



奏大を待ってるわたしの心は、弾みまくり。



しばらくして、




「治療法、見つかった」



定期検診から帰ってきた奏大の第一声。



飛び上がるくらい嬉しい知らせに、わたしは思わず奏大の体に目一杯抱き付いた。



奏大の胸から見上げた顔は、



驚くほど無表情だった。




「国外なんだ」



長い沈黙の後。



重々しく呟いた言葉に頭の中は白に染まっていく……。



「リハビリ兼ねて行くからしばらく日本離れるけど」



淡々と語る奏大の言葉に黙って頷くだけ。



だって、



奏大の口振り。



もう決めたんだよね?



だったら、



「うん。わかった」



わたしは黙って頷くしか出来ないよ……。
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