sugar、sugar、lip
「……バカだバカだとは思ってたけど、まさか奏大に黙ったまんまって……」



相変わらず奏大の姑としてわたしを苛めてくる快登くん。



すっごく呆れて、幾度となくため息をつきながらわたしの顔を見てくる。



「でも、静葉らしいよ。……米倉くんの負担になりたくなかったんでしょ?」



こういうとき、案外女の子の方が落ち着いてるもの。




さすが親友、絢音……。




「こんな大事なことでも?」




わたしの肩を持つ絢音に、快登くんの眉間の皺は更に深まる……。



「だいたい負担負担って言うならこの現状の方が負担だろっ」



さすがに、腹は黒いけど爽やかさが売りの快登くんの口調も荒っぽい……。



「例え同棲中で、結婚するも同然の彼氏だからって、相手に黙ったまんま子ども産むっ!?」



吐き出すように勢いづいた快登くんの声が病室中に響いた……。



良かった……個室で。



なんて暢気に思ってるわたしを見て、またため息。



「ハァ……。ちょっとタバコ吸ってくる」


「わたしも何か飲み物買ってくるよ」





こう言って揃って病室から出て行く二人をぼんやり見送った。
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