sugar、sugar、lip
「なぁ」


「なに?」


「……どっち?」



快登くんが連絡入れてくれたみたいだけど……ホントに病院に来いとしか言ってなかったんだ……。



「男の子だよ」



「へぇ……じゃあ母親似か」



ちょっと寂しそうな奏大の表情にちょっと笑っちゃう。



まだお猿さんみたいに赤くてシワシワだからわかんないよ……。



それでもわざわざ、


「母親似だね」



って、超にこやかに言って来たヤツも居たけど……。




でも、



「口元は奏大にそっくりだよ」



大きめでちょっと厚い。



それを聞いた奏大の表情は、ゆっくり消えていく。



「……悪いとこない?」



やっぱり気にしてたんだね……。



「当然! 予定日より早かったからちょっと小さいけど、超健康。すっごい元気な産声いっぱいあげてたよ」



ホント、奏大にも聞かせてあげたかったよ。


そしたら、そんな不安そうな顔させなかったのに……。




「そっか」



ただ一言だけ呟いた奏大の顔は、心底安心したみたいだった。





……大丈夫だよ。



この子は、奏大の良いとこばっかり受け継いでるよ……きっと。
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