sugar、sugar、lip
「感動の再会、ゆっくり堪能した?」



わたしと会うより先に廊下で会ってたらしく、しばらくして戻ってきた絢音はニコニコしてわたしたちを見てる。



その隣で、



「……後悔してない?」



縁起でもない一言をこぼす快登くん……。



「帰ってきたら父親……。かなり手の込んだイヤがらせだよ」



皮肉という程度を遥かに通り越したこの発言……。



「既成事実作ったのよっ。どっかの姑が別れろ別れろって言い続けるから」



黙って泣き寝入りしたくない一心で、力一杯フルスイング。



それでも鼻で笑う顔が憎らしい……。



「わぁ~。母は強しだねぇ。米倉くんもう逃げられなくなっちゃったよ?」



快登くんの発言に追い討ちをかけるように絢音が奏大に問いかけてる。



絢音まで何言ってんのよ!?



「逃げる気あったら帰ってきてないって」



奏大まで何っ!?


みんなヒドくない~!?


「せっかく喉も治ったし。言いたいことは山ほどあるから」



言葉とは裏腹に、甘くて柔らかい笑顔をわたしだけに見せてくれる……。
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