Three~となりの王子~
「あっそ」
あたしはわざとそっけなく言ってやった。
そうしたら、「『あっそ』はないだろ、『あっそ』は」と言って、忍が笑い出した。
その顔は、「いけすかない女たらし」なんかじゃなくて、あたしのよく知ってる忍だった。大好きな「隣のおにいちゃん」の顔。
ついついゆるんできてしまう口元をぴっと締めて、あたしは忍をにらみつけた。
「なに笑ってるのよう。笑わないでよ」
耳から入ってくる自分の声が、自然と甘えたようなかんじになってることに、舌打ちしたい気持ちになった。
どうしても、だめなのだ。
忍に対してだけは。
だって忍ときたら、あたしを甘やかすことにかけては天才的なんだもん。
「こういうこと言うと、たいていの女の子は喜ぶんだけど。なのにおまえ、『あっそ』って……」
「なにそれぇ、伝家の宝刀をあたしにふりまわすのやめてよ」
「伝家の宝刀って……」
その言葉のなにがおもしろかったのか、忍はぶぶーっと吹き出して、おなかを抱えてしゃがみこんでしまった。
あたしはわざとそっけなく言ってやった。
そうしたら、「『あっそ』はないだろ、『あっそ』は」と言って、忍が笑い出した。
その顔は、「いけすかない女たらし」なんかじゃなくて、あたしのよく知ってる忍だった。大好きな「隣のおにいちゃん」の顔。
ついついゆるんできてしまう口元をぴっと締めて、あたしは忍をにらみつけた。
「なに笑ってるのよう。笑わないでよ」
耳から入ってくる自分の声が、自然と甘えたようなかんじになってることに、舌打ちしたい気持ちになった。
どうしても、だめなのだ。
忍に対してだけは。
だって忍ときたら、あたしを甘やかすことにかけては天才的なんだもん。
「こういうこと言うと、たいていの女の子は喜ぶんだけど。なのにおまえ、『あっそ』って……」
「なにそれぇ、伝家の宝刀をあたしにふりまわすのやめてよ」
「伝家の宝刀って……」
その言葉のなにがおもしろかったのか、忍はぶぶーっと吹き出して、おなかを抱えてしゃがみこんでしまった。