Three~となりの王子~
「あたしだったら、あちこち走りまわって材料をかきあつめて厨房に殴りこんで、なにがなんでも作ってもらう」

あたしのその答えに、忍は虚をつかれたような顔になった。


「…………それは、反則だろう」

「そんなの関係ない」

きっぱり言い切ると、忍はやれやれといったかんじに肩をすくめてみせた。

「参りました。おまえって、つくづく『お嬢様』なんだな。いったいだれがこんな子に育てたんだか」

「忍にも責任はあると思う」

「そうですね、すいませんね」

投げやりみたいに言って、忍が笑う。

さっきまでの尖ったナイフみたいな空気はすっかり息をひそめ、いつもの柔和な忍に戻っていた。


なのにどうしてだろう。
胸のざわつきが止まらない。


忍のマカロニグラタンは、だれ?
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