Three~となりの王子~
「……………さん」

「え?」

「173」

まさかまともに答えが返ってくるとは思わなくて、なんて返事していいのかちょっと困ってしまった。

「まだ伸びてる。そのうちおにいたちを抜く」

ぼそぼそと低いトーンで司はつけくわえた。
短めの髪からのぞく両耳がほんのり赤くなっている。

まだ幼さを残してる顔には不似合いな上背。
変声期を迎えたばかりで不安定な声。
成長期の少年だけが持つぎこちなさ。

あたしはなんだか胸がいっぱいになってしまった。

「司、おおきくなったんだねえ!」
これじゃ親戚のおばさんみたいだ、と自分自身につっこみながら、言わずにおれなかった。

やんちゃばっかりしてた司が、甘ったれで、すぐにびーびー泣き出していたチビの司が、いつのまに。

感動に目をうるませて司を見あげていると、司はふいと顔をそらして、そのまま庭を出て行ってしまった。


やっぱり思春期は難しい……。

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