Three~となりの王子~
「あおいって、変なところでしっかりしてんのねえ」

「こんなの変でもなんでもない、あたりまえのことじゃない。金の切れ目が縁の切れ目っていうでしょ。この先ずっと、一生、永遠に、どんな格差ができたとしても、ワリカンだからね!」

あたしがまくしたてると、涼子はティーカップを運ぶ手を止めて、まじまじとあたしを見た。

「え? なに? 顔にクリームついてる?」

パフェのスプーンを放り出して、あたしはあわてて自分の顔を手で拭う。

「ちがうちがう、そうじゃない。ちょっと、びっくりして」

「なんで? あたし変なこと言った?」

「いや、だって、普通に一生とか、永遠とか言うから」

「言っちゃいけないの?」

「……いけなくはないけど」

そこで涼子はちょっと口ごもって、あたしから目をそらした。

なんだろう、涼子らしくもない。はっきり言えばいいのに。

やがて涼子はもじもじしながら、

「ずっと、こんなふうにあたしとお茶してくれる?」

と訊いてきた。


びっくりした。

あの涼子が。

乙女に見えてしまった。


あたしはあんぐり口を開けて、口に入れようとしていたイチゴをぽろりと落っことしてしまった。

「あたりまえじゃない」

「そっか」

泣き笑いみたいな顔になって、涼子がつぶやいた。
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