Three~となりの王子~
なんなんだろう。

忍も樹も司もわけがわからないけど、涼子も同じぐらいわけがわからない。

みんな複雑にものを考えすぎなんじゃないだろうか。

それとも、あたしが単純すぎるの?

それだと、なんかあたしだけバカみたいで恥ずかしいんだけど。


「それにしても」

気を取り直したように紅茶に口をつけてから、涼子が口を開いた。

「金の切れ目が縁の切れ目ってねえ。あんたはババアか」

「え、やっぱそう? あたしのボキャブラリーってばばくさい? 昨日も伝家の宝刀って口走ったら笑われたし、今朝は今朝で、隣の家の子に親戚のおばさんみたいなこと口走っちゃうし……」

「まあ、いいんじゃない。個性のひとつってことにしとけば。あんたがギャル言葉しゃべってもそれはそれで違和感あるし。それより隣の家の子って、長男? 真ん中? それとも末っ子?」

「末っ子」

「末っ子ってたしか、最近ぜんぜん口きいてくれないんじゃなかった?」

「それがね……」

 あたしはかいつまんで、今朝の司とのやりとりを涼子に説明した。

ふんふん、と相槌を打ちながらあたしの話に耳を傾けていた涼子は、途中からなぜかにやにやしだして、かーっ、とか、はーっ、とかいった女子高生にはあるまじき、オヤジのような相槌を入れはじめた。

しまいには、

「いやあ、もう、甘酸っぱいねえ! いいよねいいよね、青春。思春期。中学生。青いね、青いね」

なんて言って、身をよじらせて喜んでるし。

隣の三兄弟の話をすると、涼子はいつもこんなふうにおかしな奇声をあげながら喜ぶ。

特に、思春期ざかりの司の話がいちばんのおきにいりらしい。


涼子って、変態なんだろうか?


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