Three~となりの王子~
話のついでに、あたしは昨日の忍のことや、昨晩、窓越しに樹と話したことなんかを涼子に話して聞かせた。

最初のうちは、「若いっていいよね」などとつぶやきながら話を聞いていた涼子は、そのうちだんだん真剣な顔つきになって、最後にあたしにこうたずねた。

「あんたさあ、どこまで気づいてんの?」

「へ?」

涼子の質問の意味があたしにはまったくわからなかった。

気づいてる? なにが?

やれやれ、と涼子は肩をすくめた。

「だから、隣の三兄弟のことよ」

ますます意味がわからない。

怪訝な表情を浮かべるあたしに、涼子ははあ、とため息をついた。

「せつない、せつないわ。秋だわ。センチメンタルだわ。天然っておそろしいわ」

「さっきから涼子、なにを言ってるの。意味がまったくわからない」

「あ、いいのいいの、あんたはもうそのままで行きなさい。天然爆弾にやられてまわりの男どもが倒れていったら、最後はあたしがめんどうみてあげるから」

「だから意味がわからないって言ってるのに」

そのとき、窓の外をよく見慣れたシルエットが通りすぎた気がした。あ、とそちらに目をやると、制服姿の樹が通りを歩いていくのが見えた。

「!」

そこで、あたしは息を飲んだ。

樹の隣を、女の子が歩いている。

クラスメートだろうか。

樹と同じ校章の入ったブレザーを着てる。
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