Three~となりの王子~
部屋でゲームをしようという樹と司につられて、あたしも階段をのぼって樹の部屋に向かった。
「じゃじゃーん」
部屋に入るなり、樹がトレーナーのおなかからワインの瓶を取り出した。
そういえば樹はしょっちゅうあちこちで万引きしてたっけ。そのたび、おじさんやおばさんにこっぴどく叱られてベソかいてたけど。
「グラスはないからまわし飲みな」
と言いながら、指と歯を使って器用に栓を抜く。
「グラスなら、ある」
ぼそっと言って、司がパーカのポッケから手の中にすっぽりおさまってしまうぐらい小さなぐい飲みグラスを三つ取り出した。
でかした、と言わんばかりに樹が司の頭をぐじぐじかきまぜて、司はじゃまくさそうにそれを払いのけた。
ぐい飲みグラスに赤い液体をなみなみと注いで、あたしたちは乾杯した。こらえてもこらえても、笑いがこみあげてきて止まらなかった。樹も司もそうみたいで、声を殺すみたいに、喉だけでくくくと笑って、床の上をごろごろ転げまわっていた。
「じゃじゃーん」
部屋に入るなり、樹がトレーナーのおなかからワインの瓶を取り出した。
そういえば樹はしょっちゅうあちこちで万引きしてたっけ。そのたび、おじさんやおばさんにこっぴどく叱られてベソかいてたけど。
「グラスはないからまわし飲みな」
と言いながら、指と歯を使って器用に栓を抜く。
「グラスなら、ある」
ぼそっと言って、司がパーカのポッケから手の中にすっぽりおさまってしまうぐらい小さなぐい飲みグラスを三つ取り出した。
でかした、と言わんばかりに樹が司の頭をぐじぐじかきまぜて、司はじゃまくさそうにそれを払いのけた。
ぐい飲みグラスに赤い液体をなみなみと注いで、あたしたちは乾杯した。こらえてもこらえても、笑いがこみあげてきて止まらなかった。樹も司もそうみたいで、声を殺すみたいに、喉だけでくくくと笑って、床の上をごろごろ転げまわっていた。