Three~となりの王子~
あたしは格闘ゲームもスポーツゲームもアクションゲームもできないから(ボタン操作がややこしいし、瞬発力がないからぜったい無理!)、しかたなくあたしたちは桃太郎電鉄をやることにした。とりあえず三年、と期間を決めてはじめたら、見事にあたしの勝利。

きゃーっと飛びあがって喜ぶあたしを横目に、樹はますますすねてしまったようで、

「あおいのくせに生意気だ」

とか言いながらあたしの頭をぐちゃぐちゃにした。

「もうやめてよぉ」

樹の手をふりはらって顔をあげると、すぐそこに樹の顔があった。

ふうっと気が遠くなるような感覚があって、気づいたらあたしたち、顔を寄せて唇を重ねていた。

酔っぱらっていたから、すべてがふわふわして、現実感がなかった。

だけど、樹の唇の感触だけはほんものだった、と思う。


すぐ傍らでは司がすやすや寝息をたてていて、あたしたちはほとんど無意識に、ついばむみたいにお互いの唇を求めあった。何度も。ごくごく自然に、特別な衝動もなにもなく、そうしていた。
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