悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
最初に階段を駆け上がったのは、ダウナーさん。
二階分の高さがありそうな螺旋階段を見上げていると、解錠音がして、その後に鉄製のドアを開けたような軋む音が響いた。
すると地上の光が降り注ぎ、私は眩しさに目を細める。
ダウナーさんが開けたのは、ドアと言うより、蓋と言った方が適切かもしれない。
丸くくり抜かれたような外の景色は、澄んだ青空と木の枝葉。
きっと井戸の底から見上げれば、ここような景色が見えることだろう。
「異常ありません」というダウナーさんの声がして、私たちは並んで階段を上り地上に出た。
そこは森の中。
真っ暗な地下からでは随分と眩しく感じたが、木々が茂り、地面に届く光量は少なめだ。
薄暗い森には見渡す限り目印となりそうなものはなく、井戸のようなこの出入口も下草に紛れてわかりにくい。
ここから離れたら、私ひとりでは戻ってこられない気がしていた。
私が不思議そうに出入口を見つめていると、王太子は「わざと見つけにくくしてあるんだよ」と話し、その理由も教えてくれた。
「今通ってきた地下通路は、有事のための避難路だ。存在を知っているのは、王族とごく一部の者だけ。たったの数人だ」
有事とは、万が一、王城が敵に攻め込まれたときのことだろう。
六角形の小部屋の隠し通路から、この森に出るまでの道は、王家の血を絶やさないために必要な機密事項。
たった数人しか知らないという秘密の道を、どうして私に教えてくれるのか……。
二階分の高さがありそうな螺旋階段を見上げていると、解錠音がして、その後に鉄製のドアを開けたような軋む音が響いた。
すると地上の光が降り注ぎ、私は眩しさに目を細める。
ダウナーさんが開けたのは、ドアと言うより、蓋と言った方が適切かもしれない。
丸くくり抜かれたような外の景色は、澄んだ青空と木の枝葉。
きっと井戸の底から見上げれば、ここような景色が見えることだろう。
「異常ありません」というダウナーさんの声がして、私たちは並んで階段を上り地上に出た。
そこは森の中。
真っ暗な地下からでは随分と眩しく感じたが、木々が茂り、地面に届く光量は少なめだ。
薄暗い森には見渡す限り目印となりそうなものはなく、井戸のようなこの出入口も下草に紛れてわかりにくい。
ここから離れたら、私ひとりでは戻ってこられない気がしていた。
私が不思議そうに出入口を見つめていると、王太子は「わざと見つけにくくしてあるんだよ」と話し、その理由も教えてくれた。
「今通ってきた地下通路は、有事のための避難路だ。存在を知っているのは、王族とごく一部の者だけ。たったの数人だ」
有事とは、万が一、王城が敵に攻め込まれたときのことだろう。
六角形の小部屋の隠し通路から、この森に出るまでの道は、王家の血を絶やさないために必要な機密事項。
たった数人しか知らないという秘密の道を、どうして私に教えてくれるのか……。