悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
その問いは投げかけられないままに、「行こう」と歩きだした彼の隣をついて行く。
置いていかれたら迷子になってしまうので、他のことに気を回している余裕はなかった。
少し歩くと、森の中に道が現れた。
いや、道と言っていいのかわからない土の地面なのだが、下草が生い茂っていない分、歩くのが楽になった。
「オリビア、大丈夫? 疲れたら負ぶうよ」と時折声をかけてくれる王太子に、そんなことをされては困ると首を横に振って断りながら歩くこと十分ほどで、景色が開けた。
遠方に見えるのは、灰色の岩山。
その山裾の平野にはブドウ畑が広がり、緑の中に民家が点在している。
華やかに栄える王都の先の北側には、ワイン用のブドウ畑が広がっていると父に聞いたことがあったので、やっと地理的な感覚を掴めた思いでいた。
風がブドウの葉を揺らし、甘酸っぱい香りを届けてくれる。
手入れに勤しむ農民たちの姿が、畑の中にちらほらと見えていた。
働く彼らの姿に王太子は目を細め、声はかけずとも「ご苦労様」と独り言を呟いていた。
さらに進めば道幅はいくらか広くなり、板壁の簡素な建物が六棟建ち並ぶ場所に差しかかった。
置いていかれたら迷子になってしまうので、他のことに気を回している余裕はなかった。
少し歩くと、森の中に道が現れた。
いや、道と言っていいのかわからない土の地面なのだが、下草が生い茂っていない分、歩くのが楽になった。
「オリビア、大丈夫? 疲れたら負ぶうよ」と時折声をかけてくれる王太子に、そんなことをされては困ると首を横に振って断りながら歩くこと十分ほどで、景色が開けた。
遠方に見えるのは、灰色の岩山。
その山裾の平野にはブドウ畑が広がり、緑の中に民家が点在している。
華やかに栄える王都の先の北側には、ワイン用のブドウ畑が広がっていると父に聞いたことがあったので、やっと地理的な感覚を掴めた思いでいた。
風がブドウの葉を揺らし、甘酸っぱい香りを届けてくれる。
手入れに勤しむ農民たちの姿が、畑の中にちらほらと見えていた。
働く彼らの姿に王太子は目を細め、声はかけずとも「ご苦労様」と独り言を呟いていた。
さらに進めば道幅はいくらか広くなり、板壁の簡素な建物が六棟建ち並ぶ場所に差しかかった。