悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
四枚のカードに手を伸ばし、どれにしようと私は迷う。
十秒ほどかけて選んだのは、向かって右端のカードだ。
落ち着かない心に、『大丈夫よ。ジョーカーを引く確率はたったの四分の一だもの』と言い聞かせる。
カードに指をかけている私に彼は、努めて平静な顔をして「見てごらん」と言った。
ゴクリと唾を飲み込んで、引いたカードの表を確かめれば……それはハートのエースだ。
安堵の息を吐き出すと、心に余裕が戻ってくる。
勝負事のように感じていたので、「わたくしの勝ちのようです」と微笑んだら、ニッと笑った彼に「カードをよく見て」と言われた。
手の中のハートのエースに、もう一度視線を落とした直後に、私は「えっ!?」と驚きの声をあげる。
【手を繋ぐ】と書かれていたはずなのに、【唇にキス】と文字が変わっているのだ。
「どういうことなの!?」
彼の奇術であることはわかっていても、目を丸くして新鮮に驚いてしまう。
すると彼は残りの三枚のカードの表面も見せてくれた。
ダイヤもスペードも、書き込んだ文字が同じように変化していて、つまりはどれを選んでも、唇にキスを受けることになっていたようだ。
十秒ほどかけて選んだのは、向かって右端のカードだ。
落ち着かない心に、『大丈夫よ。ジョーカーを引く確率はたったの四分の一だもの』と言い聞かせる。
カードに指をかけている私に彼は、努めて平静な顔をして「見てごらん」と言った。
ゴクリと唾を飲み込んで、引いたカードの表を確かめれば……それはハートのエースだ。
安堵の息を吐き出すと、心に余裕が戻ってくる。
勝負事のように感じていたので、「わたくしの勝ちのようです」と微笑んだら、ニッと笑った彼に「カードをよく見て」と言われた。
手の中のハートのエースに、もう一度視線を落とした直後に、私は「えっ!?」と驚きの声をあげる。
【手を繋ぐ】と書かれていたはずなのに、【唇にキス】と文字が変わっているのだ。
「どういうことなの!?」
彼の奇術であることはわかっていても、目を丸くして新鮮に驚いてしまう。
すると彼は残りの三枚のカードの表面も見せてくれた。
ダイヤもスペードも、書き込んだ文字が同じように変化していて、つまりはどれを選んでも、唇にキスを受けることになっていたようだ。