悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
眩しい西日に目を細めつつ、馬を進める彼は、穏やかな声で私に注意を与える。
「今日のことは秘密だよ。王家の避難場所を知っているのは、数人だけ。オルドリッジ公爵も、他の貴族も知らないことだからね」
「はい」と答えた後に、ふと疑問が湧いて、「私にも教えない方がよかったのではないですか?」と疑問を投げかけた。
王族の身の安全に関わる機密事項ならば、ひとりでも知る者を減らすべきである。
今日は楽しませてもらい感謝しているけど、部外者の私があの場所に行く必要はなかったのだ。
するとレオン様は、前を進むグラハムさんに「もう少しスピードを上げて」と声を張り上げた。
それをなぜかと問う暇もなく、急に走り出した馬に私はバランスを崩しかけ、慌ててレオン様の胴にしがみついた。
耳をあてた彼の胸元から、問いかけの返事が響いて聞こえる。
「君の言う通り、教えるべきではなかったのだろうね。だから……オリビアが他家に嫁いだら困ることになる」
私の心臓が大きく速く波打っているのは逞しい胸に抱きついているからなのか、それとも結婚に関わる話をされたからなのか……。
公爵令嬢という高い地位にいる私が、花嫁候補の最有力者なのだろうと思ってはいたけれど、彼がどこまで決めているのかはわからなかった。
それが、今の発言ではっきりする。
レオン様はいずれ私を娶るつもりで、秘密の場所に連れていったのだと。
「今日のことは秘密だよ。王家の避難場所を知っているのは、数人だけ。オルドリッジ公爵も、他の貴族も知らないことだからね」
「はい」と答えた後に、ふと疑問が湧いて、「私にも教えない方がよかったのではないですか?」と疑問を投げかけた。
王族の身の安全に関わる機密事項ならば、ひとりでも知る者を減らすべきである。
今日は楽しませてもらい感謝しているけど、部外者の私があの場所に行く必要はなかったのだ。
するとレオン様は、前を進むグラハムさんに「もう少しスピードを上げて」と声を張り上げた。
それをなぜかと問う暇もなく、急に走り出した馬に私はバランスを崩しかけ、慌ててレオン様の胴にしがみついた。
耳をあてた彼の胸元から、問いかけの返事が響いて聞こえる。
「君の言う通り、教えるべきではなかったのだろうね。だから……オリビアが他家に嫁いだら困ることになる」
私の心臓が大きく速く波打っているのは逞しい胸に抱きついているからなのか、それとも結婚に関わる話をされたからなのか……。
公爵令嬢という高い地位にいる私が、花嫁候補の最有力者なのだろうと思ってはいたけれど、彼がどこまで決めているのかはわからなかった。
それが、今の発言ではっきりする。
レオン様はいずれ私を娶るつもりで、秘密の場所に連れていったのだと。