悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
武器を捨て、恋の教えを賜る
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秘密の場所に行った日から、ひと月半ほどが過ぎ、秋は深まりゆく。
収穫祭が終わると、それぞれの領地から王都に、貴族たちがやってくる。
田舎屋敷を留守にして、町屋敷に移り住み、春まで晩餐会や舞踏会、サロンパーティなどが頻繁に催されて活発に交流するのだ。
王城に執務室を与えられている父は他の貴族とは違って年中町屋敷に住まい、オルドリッジ領と行き来している。
母に会いに辺境伯領へも頻繁に足を運んでいるのだが、一昨日から祖父母と弟たちが町屋敷に来ているというので、父もきっと王城から馬車で二十分ほどの邸宅にいることだろう。
母だけは冬にならないと王都に来ない。
都会暮らしより田舎を好む母なので、毎年、年末頃にやってきて、そして仕事が忙しいからと、数日の滞在で辺境伯領に戻ってしまうのだ。
母からこっちに来るという手紙が届いたら、王妃に暇を願い出て、私も一時、自宅に帰ろうと思いながら、私は王妃の髪を梳いていた。
ここは王妃の寝室で、時刻は十九時四十五分。
王族の晩餐は二十時から始まるので、この時間はディナードレスに着替えて、髪を結い直す。
私は侍女として、いつものようにその支度を手伝っていた。