悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
顔だけ振り向けば、アクベス母娘の集団がいつの間にかすぐそばにいて、私を見ながらヒソヒソと囁き合い、耳障りな笑い声を立てているのだ。

すぐに集団に取り囲まれて、しゃがんでいる私にからかいの言葉がかけられた。


「まぁ、オリビアさんたら。そのような格好で眺めたくなるほどにご興味がおありですのね。いやらしいですわ」


そう言ったのは、ペラム伯爵家の長男の夫人だ。

ペラム家に嫁いで間もない彼女は、アクベス家の親戚筋にあたるため、私のことを快く思っていないようだ。

それは最初から理解していたことだけど、『いやらしい』と非難された意味がわからなかった。

立ち上がって厳しい視線を向け、「どういう意味でしょう?」と問い返せば、彼女ではなくアクベス侯爵夫人がニヤつきながら答える。


「ごまかそうとなさっても無駄ですわ。男性にしかないものをしげしげとご覧になっていたじゃありませんか」


つまり、私がこの像の股の間を下から覗いていたと言いたいらしい。

まったく下品なのは、どっちなのよ……。


腹が立つというより呆れ返って、私は閉口する。

言い返すのも馬鹿らしいと思ったのだ。

すると私が困っているのかと勘違いした面々が調子に乗って、さらに私を侮辱する。

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