悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
そんなふうに返されては、困ってしまう。

確かに人数的には不利な戦いで、母をけなされ、髪飾りを傷つけられたことには、ダメージを受けた。

けれども私は、泣いて耐えるだけのかわいそうな被害者ではない。

私の方もロザンヌ嬢たちを口撃してしまったのだから。


青く澄んだ瞳に私の顔が映り込んでいるのを目にして、後悔が押し寄せていた。

私の心は汚れている。レオン様に守られるに値しない娘なのに、今日は助けられ、謝らせもするなんてひどい話だ。

人を貶めるようなことを言わなければよかったわ。

そうすれば、こんなふうに自己嫌悪に陥ることなく、喜びだけを胸に、ここに座っていられたかもしれないのに……。


目を合わせていられずに俯いて、膝の上で両手を握りしめる。

そして迷った末に、ロザンヌ嬢たちにぶつけたひどい言葉を正直に打ち明け、謝罪した。


「申し訳ございません。わたくしはこのように心の醜い娘なのです。レオン様に助けていただく資格はないのに、喜んでしまって……。自分を恥ずかしく思います」


私が話し終えても、彼は黙り込んだままで、雨と馬車の車輪の音しか聞こえない。

彼がなにを思うのか……気になるけれど、隣を窺い見る勇気がなかった。

今の告白で、私がどれだけ汚いのかを彼は理解したことだろう。

私もロザンヌ嬢と同様に、花嫁候補者から外されたに違いないと予想していたのだ。
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